見たい建物があり日曜の午後にあれへ出掛けていた。
坂を転げてくる小さな瓶を拾うと中身は酢漬けのホラー漫画だった。
きっと悪いやつがいて、瓶詰め漫画はそいつの仕業で、
悪いやつは高い椅子みたいな格好をしていて、髪は後ろで留めてくるっとやると毛先が上向きになりますよね、あれで、
蛸よりは熱く心よりは広い坂、
日陰を選んで歩いてきたのはいいが仕方ないとはどんなことだったのか、
瓶は帰ってから開けた、お話は腐っていて既に怖くはなかった。
眠れない夜、確かあれはアンパンマンのアニメで引っ張ると悲しくなったりする喜怒哀楽の紐が体内にあって、
それがぎゅっと握られている夜、
きっと悪いやつがいて、悪いんだから見た目はいいだろう、
爪は綺麗に切れている、季節には季節の服を着て、
百合よりはつつじ、ちゃりよりは徒歩、林檎よりは檸檬、巨人よりは横浜、冷蔵庫よりはハートビート、
悪いやつも時には優しく夜寄ってきた猫に翻弄されたりもして、
親が死んだらそりゃ悲しくなる。
燃えそうなもので溢れた部屋、
足が痛くて眠れないので知ってる人のことを考えてみる。
頑張れと思うやつが一人、早めに死んで欲しいやつが一人、
ブログやめろと思うのが二人、小説やめろと思うのが二人、
悪いやつはいなかった、仕方ないって何だったのか、
気付けば開けられなくなっていた瓶があって、
日向の坂道に置いてみるとあっという間に転がり落ちてしまった。