眠れぬ夜の内一番君が人を必要とするタイプのがやって来て、
しまったと思ったろう、耐えるしかない君の元へ、
猛禽の羽をした貧相な男が隕石のようにたまたま舞い降りた。
たまたまではないな、君は実際に待っていたんだから、
窓を破壊した梟は本棚に止まり君に話しかける。
「呼ばれりゃ必ず来るでもないが事実こうして縁にはなった、
形になったものは嫌いか? 別にいいならこれから出掛けよう。
さあ汗をふけ、パーティーのこれが招待状だ、
君の今のそれだけ塞ぐ対症療法が今夜オシリスの京王プラザでやっている」
梟の背に乗って耐えきれない夜を飛ぶ、
月を追い越して北の闇のペガサス座を目指す、
パジャマから着替えた恰好は制服で、
胸の汗もへこたれた気持ちもばりばりいう成層圏で本物の君の恐怖になった。
地球を出るとあとは菊花のぽつぽつ咲くだけの広い宇宙で、
ナイフが刺さるより早く梟は君をホテルへ降ろした。
なあ君が気持ち救われたのはとれそうな夜の舞踏会の明かりか?
そうじゃないよな、白い手袋と黒い制服の、乱暴な運転手のしてくれの方だろう?
「あなたはパーティーに出ないの」
「おれはアッシャーだよ。学校なら学校へパーティーならパーティーへ、
行けないお前のうち連れ出せた没個性をただの混雑へ運ぶ係だよ。
ここでなにがあるかは知らないさ、地獄かも知れんが、願い叶い、たまたまだろ。
うまくやれとは思ってはいるよ」
「どうすればいい? お礼をしたいよ」
「出世したら返してくれ」梟は足で笑い声を立てた。
「また会うには? もう会えないの。
パーティーがいつか終わった後の、目が覚めた後の一人の私は」
「形がなくなるの嫌か? 嫌ならその先は賭け事になるな。
今日のお前が明日もあればたまたまのいつかまた会えるだろう。
バランス取って生きろよ。遠くに行ったら仕方ないが、
たまたますれ違えたらいいな。今日は楽しんでおいで」
宇宙の花畑へ去っていく梟の熱だけ両手と膝に残った、
パーティーに恐る恐る君が飛び込めたのはなぜだろう?
夜が補填されるのはいつもとは限らない、
結局泣くなり大騒ぐなりへこたれたこともたまたまじゃなきゃ、
君の性格の糞さ自体もそうだし、
ただ君に来た梟がなるべくの器量よしで、
そんな賭け事が何か縁起になればおれはいい。