今日が晴れても構わないなら自分だって誰かの助けになるだろうと思う(なれるわけがない)。
砂糖靴子は昭和の生まれで、五人上に姉兄がおり、
はてな記法でいうならidのそれのように育てられ、今年の冬に二十五歳になった。
一年中サンタを待つような気分でいるという非常が高校一年の時に起こって、以来心を少し持ち崩していたが、
より暗い所へ落ちることで安定し、自分では息をしているつもりだった。
ツケがやってきたのは今年の夏、
神のコーヒーギフトのような雨の日に隣の椅子にいた機械製のアイス、
名をメープルクッキーといい、それがやさしくて好きになったのだった。
出会いはテニスコートの隅のほうにあるちょっと割れた例の椅子で、
一緒に宇宙試合を見ていたのだったが、土砂に降られて図書館へ逃げ込み、
一緒になんかいかにも児童文学とか好きそうなやつが好きそうな方の児童書のそれを読んでいるうちに、何か自分のはらわたに残っていた薬が溶けてしまうのを感じたのだった。
今のが何のヘイトか自分にも判らない、
嫌いなものを好きなやつを見て自分の隠れ家が溶け出すのに気づいて、
「傷ついてやんの」病気が治っていく。「いいじゃねえか、一番理想的なおじゃんしかたじゃねえか」
「誰と話してるんですか」メープルアイスが聞いてきた。
「未来について考えたことあるか。
おれはないんだ。そのツケはある、
予防のつもりで飲んでた薬が今頃効いてくるのなら、
本尊のように拝んだ病気を返せるわけがないだろう」
だから、いいたいことをまとめると靴子の願いはてるてる坊主になる。
「今日は晴れるな、説明書をちゃんと読め、
細部さえあれば病気は逃げない」
溶けた薬に胸が荒れて、もう一度細部アイスについて